帰依する人々 −その3−


帰依する人々 ー食品中の放射能について−の中で、帰依した人の論理はどこかで破綻がある、現実との解離がある、だから見えてるものを、そのまま素直に見るだけで、それを見破ることが出来ると書きました。

実際に、練習問題をやってみましょう。

食品中の放射能について調べようとして、『放射能 食品』と入れて、Google検索してみます。すると、以下のページがヒットします。

世界で唯一、放射能汚染食品を食べ続ける国民! 買い物で注意する食品! 放射能汚染食品の簡単な見分け方

これは、もうタイトルから全面的に間違いです。日本は『世界で唯一、非科学的に低い放射能レベルを設定しちゃった国民』なのですから、全く逆です。帰依する人々 ー食品中の放射能について−に、山本太郎氏の国会質問に対して、田中俊一委員長の回答ビデオを載せておきましたが、『国際的な基準でいえば、コーデックス委員会という国際的な貿易をする時の食品基準が1kgあたり1200ベクレルです。EUも1000です。アメリカは1200です』と答え、『しかし、原発事故などでその達成が困難な時には一時的にもっと高くする。例えば主食であるトナカイが汚染された時には、規制値は6000ベクレルだった』と述べています。

日本はその世界標準の考え方に対して、事故時に逆に規制値を下げるという、とんでもない事を行っている訳です。日本が1kgあたり100ベクレルなどという国際標準の1/10という非科学的な規制値を決めたので、EUなどは、それなら日本の規制に合わせるよと言って、今まで輸出できていた静岡のお茶などを輸入制限している状況です。このホームページは、事実を調べればすぐに分かる、その前提から間違っている訳ですから内容たるや散々です。しかし、食品ごとの規制値など妙に細かいところが帰依した人の心を掴むのでしょう。


次にヒットする、諸悪の根源→食品安全基準100ベクレルを…矢ケ崎克馬教授が切る!というページ。

これは綺麗で、分かり易いページですね。矢ケ崎克馬琉球大学名誉教授というのが、写真入りで載っています。大学教授ということで、一見、権威がありそうです。

しかし、すぐ下から『子供は1ベクレルでも大問題』という文章が始まります。『1ベクレルでも』と言った瞬間に、ああ『原理主義者だ』と分かります。現実主義者は、世の中に絶対がないということを知っていますから、『1ベクレルでも』とは絶対に考えません。生物は放射線に耐える力を持ったからこそ生まれてきたのです。

そして少し読むと、『国際放射線防護委員会(ICRP)はダメで、欧州放射線リスク委員会(ECRR)が正しい』という文章です。帰依する人々 ー食品中の放射能について−で紹介した、反原発の人々が公的機関と嘘をついている、エセ科学者とエセ専門家の『カルト集団』ですね。

あとの文章に出てくる、ドイツ放射線防護協会(Gesellschaft fur Strahlenschutz, GS)も、ドイツの公的な科学機関と全く関係のない市民団体で、ここもやはり『カルト集団』です。いずれも、Wikipediaで検索すればすぐに分かります。

内容をみると、矢ケ崎克馬教授がこのページで主張するのは、ICRPは、低線量の内部被曝を正しく評価していないというものです。

それでは、内部被曝の歴史を調べてみましょう。

『内部被曝 核実験 歴史』と入れて、Google検索すると、

フォールアウトからの人体内セシウム(40年の歴史) (09-01-04-11) がヒットします。こちらは、放射線の医学への適用を研究している公的機関で、放射線総合医学研究所(放医研)と呼ばれる研究所のページです。

公的機関の特徴である、もう一見して分かり難いページですが、データは豊富です。核実験により、世界のどこで、どのくらい内部被爆したかというデータが詳しく書いてあります。多くのデータがありますが、端的にいえば、チェルノブイリや福島などが問題にならないくらい、私も含め当時の日本人は内部被曝している事が分かります。

こういう核実験による内部被曝のデータも集め、放医研や原子力研究所などの世界の専門家、疫学学者などが集まって、ICRP勧告を作っているのですね。

矢ケ崎克馬教授の主張は、私を含め、核実験による大量の内部被曝を受けた矢ケ崎克馬教授ご自身がまだ長生きされているという『事実との大きな解離』があります。

以上のように、帰依した人のページは、普通に素直に見れば、間違いと分かります。

私が本当に腹を立てているのは、同時にヒットする以下のページです。

放射能は300年消えず、「食品汚染の今」 原発事故から4年、あの問題はどうなった?

これは大手マスコミ、AERAの記事です。内容は、『事故から4年がたったのに、今なお、原発から遠く離れた場所でも基準値超えを検出される産品があるのは、なぜなのか』という記事で、規制値の1kgあたり100ベクレルを越える産品をリストアップしています。

どうしてかというと、もともと、福島の事故以前から、それ位の放射能を持っていたからです。(この記事を書いている記者自身も、1kgあたりの体内放射線量は100ベクレルを越えているでしょう。なぜとは考えないのでしょうか)リストを見ると、25個挙げている食品のうち、国際標準の1000ベクレル越えは1個(野生のキノコ)のみ、他は全て110ベクレルとか、200ベクレルです。国際標準規制値であれば、全て問題なく食べられ、外国に輸出できる食品です。

そもそも、朝日新聞をはじめとする大手マスコミが煽り、当時の民主党政権が食品規制委員会のメンバーに圧力をかけて、100ベクレルという、何の根拠もない、非科学的な規制値を定めたのが誤りだったのです。(その圧力に負けて、研究者や専門家としての矜持を捨てた委員会メンバーを私は軽蔑します)

ですから、この記事は、自分達で煽って、世界標準の1000ベクレルなら問題にならないところ、100ベクレルという非科学的なレベルに世論を誘導し、そして、100ベクレルを越えているのが問題だ!!と言っているわけです。

100ベクレルに設定したために、福島の農業復興が遅れ、何の罪もない青森県の干し椎茸業者や、とばっちりとしか言えない静岡県のお茶業者、東北地方の漁業民に何と言い訳するのでしょうか。

自分達で煽って、国民の多くに迷惑をかけ、それを棚に上げてその結果を非難する。これは朝日新聞の慰安婦問題と全く同じ構図ですね。

100ベクレルという、非科学的で、かつ世界標準からかけ離れた規制値を決めたために、もとからあった放射能レベルの食品が流通できなくなった損害を、きっかけを作ったからと東電の責任にするのは私には納得できません。

その責任は明らかに、当時の民主党政権、煽った大手マスコミ、『空気』に負けて科学者・専門家としての矜持を捨てた委員会メンバー、そして今なお、帰依して騒ぎまくっている人達にあるからです。

国際放射線防護委員会(ICRP)の罪へ続く