クレムリン大冒険

Adventure in Kremlin


目次

  1. はじめに
  2. スタート
  3. チケット獲得
  4. ガイドブック獲得
  5. 地図発見
  6. ロシアの子供達
  7. 宝物庫
  8. おわりに


1.はじめに

ソ連時代に初めてモスクワに来たのはもう12年前になるでしょうか。その当時の物語は、「ロシアに愛を込めて」をご覧下さい。それ以来、今回で、ロシア訪問は10回を数えます。来るたびに、ロシアの変貌ぶりに驚いていますが、あまり変わらないものもあります。そのひとつが、サービス精神の無さ。無愛想な入国審査や税関で代表されるように、観光客を心地よく迎えてあげようという親切心が皆無なのです。

これは、予備知識の無い観光客が、如何にして、クレムリンの宝物殿を探検したかという、大冒険物語です。他の国では簡単な、行き当たりばったりの観光が、この国では如何に難しいかという...

2.スタート

時代:2002年3月
場所:モスクワ市クレムリン綾
プレーヤー:
仲間:亨一くん
目的:宝物
当初アイテム:2000ルーブル(約9000円)
経験値:レベル0

3.チケット獲得

朝9時半。クレムリンの入口に立ちました。沢山の従業員風の人たちがクレムリンの中に入っていきます。入り口には軍服を着た若者が立っていて、金属探知器も見えます。まず、試しにその人たちについていきました。当然、若者がストップをかけます。指で四角を描くところを見るとチケットと言っているようです。

あたりを探検すると、階段の下にブースがありました。ロシア語の表示があって、200ルーブル、350ルーブル、50ルーブルと書いていますが、どれが何をするためのものか全く解りません。試しに指を二本立てて、ブースの中のおばさんに「Two Persons」と叫んでみました。オバサンは、「・・・・・」とロシア語で聞いてきます。「Do you speak English ?」と言ってみますが、無駄です。クレムリンを指さして、私と仲間の亨一くんが、あの中に入りたいのだとジェスチャーで示しました。


1000ルーブル札を渡すと、オバサンは、600ルーブルのおつりと一緒に、二人分のチケットをくれました。そのチケットを持って、先ほどの入口に行きました。チケットを見せて中に入ろうとすると「ニエット(ロシア語でノーの意味)」と止められました。私のバックパックを指さしています。どうやら、大きな荷物は預けろと言っているようです。あたりを探すと、手荷物預り所がありました。ひとり30ルーブルを払って、荷物を預けました。

再度、入口に行くと、今度はカメラを指さして「ニエット」と言います。どうやら、カメラの持ち込みは別料金のようです。チケットブースに戻り、ひとり50ルーブルを払うと、PHOTOとロシア語で書いたシールとチケットをくれました。

今度こそと、入口に立ち、チケットを示すと、「ニエット」と言って時計を指さします。どうやら、まだ開いていないようです。

「一度に、ちゃんと言って欲しいものですよね」
亨一くんが、文句を言っています。


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10時。やっと入口を通って、クレムリンに入りました。城壁の中は意外と広くて、たくさんの建物があります。観光客は皆無。ぽつり、ぽつり、従業員風の人たちが、あちこちの建物に入っていきます。建物に何の表示もなく、また順路などを示すものも何もありません。

「どうしよう...」
「何も表示が無いですね」
「普通は、チケットと一緒に簡単なパンフレットくらい配るよなあ...」
「そもそも、ここは何があるのですか?」
「一応、宝物殿を見に来たつもりだけど...」
「それは、どこに?」
「う〜ん、こんなに広いと思わなかったから」

試しにすぐ近くの建物に入って、守衛の兵士にチケットを見せました。兵士は首を振ってバツ印を出します。どうやら、違うようです。何度か試して、この方法ではダメなことがわかりました。


所持アイテム:
1440ルーブル
入場チケット
カメラチケット
経験値:レベル1

3.ガイドブック獲得

もう少し歩くと、ギリシア正教の教会風の建物が並んだ広場に出ました。そのうちのひとつの教会の前のドアに小さな矢印があります。試しに入ってみることにしました。重いドアを開くと、おばさんが待っています。ダメもとでチケットを示すと、チケットの横に切り込みを入れて、どうぞと道ををあけてくれました。

教会の中には展示物は何もありませんが、片隅に本やガイドブックを売っているコーナーがありました。近づくと、おばさんが、中国語のガイドブックを渡してくれました。その横には日本語のガイドブックも置いてあります。中国人に間違われたことに少し傷つきながら、50ルーブルでガイドブックを購入しました。亨一くんもガイドブックが欲しいというので、400ルーブルを貸してあげました。


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所持アイテム:
1440ルーブル
入場チケット
カメラチケット
ガイドブック
経験値:レベル2

4.地図発見

ガイドブックは強力です。いくつもの写真とそれぞれに説明がありました。この教会の写真もあり、壁画が有名と書いてありました。

「わかったぞ!」
「何ですか?」
「あのね、チケットの横にVの字がいくつかあるでしょ。今、おばさんが切り込みを入れた所のロシア文字を読むと、ほら、この教会の名前だよ」
「つまり?」
「つまり、このチケットは、入場券プラス、このVの字を書いてあるところの5個所を回れるチケットなんだ!」
「ということは、チケットに書いてある他のところをガイドブックで調べれば...」
「そう!クレムリンの代表的な所を観光できるんだ!」
「やりましたね!」


ガイドブックの後半の1/3くらいは、武器庫と呼ばれる宝物殿の紹介です。
「武器庫はロシアで最も古い博物館である。クレムリン職人のひとりの名前をとって武器庫とされた。ロシア語”パラータ”は宮殿とか石造りの家などの意味合いである」
と書いてあります。

チケットで”パラータ”と読めるロシア語文字を探すと、確かに、上の方にありました。
早速、行ってみましょう。
ところが、ガイドブックに地図がありません。

広場を歩いている従業員のおばさんを呼び止めました。チケットの”パラータ”という文字を指さして、「我々はここに行きたいのだ」と英語で話しかけました。おばさんは、「XXXX」とロシア語で答えてくれて、方向を指さして教えてくれます。

何度か、これを繰り返しましたが、なかなか目的の建物に辿り着きません。

「一体、ここには英語をしゃべれる人はいないのか!」

途方にくれていた、その時、亨一くんが地図を発見しました。


所持アイテム:
1440ルーブル
入場チケット
カメラチケット
ガイドブック
地図
経験値:レベル3

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地図を見ると、我々が入ってきた入口は正規のものではなく、裏口にあたることがわかりました。そのために、観光客は誰もいなかったのです。武器庫である、”パラータ”は、正規の入口を入ったすぐの所にあるようです。


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5.ロシアの子供達

ここが武器庫の入口のようです。

ドアの横に申し訳程度に、ロシア語の看板がありました。これでは、わからない筈です。


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ドアを開けて中に入ると、おばさんが立ちはだかって「ニエット」と言いました。時計を指さしているところを見ると、入館時間ではないようです。「何時ならいいのか?」と時計を指さしながら聞いてみると、30分後だと答えました。外は寒いので、そのまま建物の中で待っていたかったのですが、おばさんは、シッシッという感じで我々を追い払い、ドアを閉めてしまいました。

「なんだよ。中で待ってたっていいじゃないか」
「自分たちだけ暖かい室内で」
「そう、お客は寒空の下で待たせるとはね!」
「ホント、商売気が無いですね」
「待ってる間に、みやげものでも売れば儲かるのにね」
「カフェテリアだって儲かりますよね」
我々は、不満たらたらです。

外には、日本でいえば小学校の高学年くらいの年齢のロシアの子供達がいました。この子供達も、開館時間を待っているようです。私がパソコン(バイオPCG-C1VJ)を取り出し、パソコン付属のカメラでビデオ撮影を始めると、子供達はとても興味を持ったようでした。

そのうち、子供達のうちのひとりが進み出てきて、
「What is your name ?」
と聞いてきました。
「My name is yosh.」
と答えると、子供達がわっと歓声をあげました。

「Where are you from ?」
「Tokyo, Japan」
と答えると、またまた歓声があがります。

そういえば、私も修学旅行の時、初めて外国人を見た時に、引率の先生に英語を使ってみろと言われたよなあと思いながら、子供達に付き合ってあげます。
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「それは何?」
「うん、これは、パソコンだけど、ビデオが撮れるんだよ。君たちの先生は、とても美人だから、撮ってあげよう」
と撮影したのが、左の写真です。

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6.宝物庫


7.おわりに

友人として接するロシア人は本当に人なつっこいのに、仕事中のロシア人は無愛想で、融通がきかないのが本当に不思議です。ペレストロイカから14年。社会システムが変わり、ロシアの人たちの気性もかわりつつあるのでしょうが、まだまだ、サービス業の何たるかがわかっていません。観光客に気持ちよくお金を落としてもらう、それが自分の生活の豊かさに繋がるという、ただそれだけの事を、無愛想な切符切りのおばさんにわかって欲しいものです。

もっとも、何の予備知識もなく、ガイドブックも無しにクレムリンに飛び込む我々も、懲りないといえば、懲りないのですが...


−おわり−

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