ロゼの味は?

How is the taste of Rose wine in Provence


目次

  1. エクスアンプロバンス
  2. サンビクトワール山の麓で
  3. レストラン
  4. コート・デ・プロバンス
  5. カシス



1.エクスアンプロバンス

冬時間から夏時間に変わる3月末のその夜、私と美恵子さんは南フランスのエクスアンプロバンスのロトンド(大噴水)の前にあるカフェで頭を突き合わせていました。小さなテーブルの上には美恵子さんが集めたプロバンス地方のワイナリーのパンフレットが所狭しと広げられています。美恵子さんは、1ヶ月間の予定でエクスに滞在中。私はその夜、ロシアからフランスに着いたばかりでした。

「意外とたくさんあるね」
「そうでしょ。このワイナリーなんて、すごく近いみたいです」
「へえ、サンビクトワール山の麓にあるんだ。気付かなかったなあ」
「でも、本場のコート・デ・プロバンスは、もっと東のニースに近いところだと言っていました」
「まあ、本場と言うのなら、ここからなら北のローヌに行くべきなんだから。まあ、今回はプロバンスのロゼを極めるということでいいんじゃない」
「はい。じゃあ、明日は本場のコート・デ・プロバンスですね。わあ、楽しみ」

という訳で、更に、研究を進めました。ところが、各ワイナリーの説明になると、全部フランス語なので、いまいち、わかりません。美恵子さんが、ボーイのお兄ちゃんをつかまえました。英語に訳させるためです。ところが、このお兄ちゃん。英語があやふやです。パリあたりだと、殆どの人は英語を理解しますが、南フランスの田舎の方では、レストランでも英語をきちんと話せる人は希です。

「samediって、土曜日のことですよね」
「えっと、それは、日曜日の前の日です」
「だから、土曜日でしょ」
「いいえ、日曜日じゃ無いです」
「う〜ん。だからあ、月、火、水、木、金、土」
「そう。それです」

などと苦労しながら、それでも、日曜日にも開いているというワイナリーをいくつかリストアップしました。

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2.サンビクトワール山の麓で

次の日の朝、夏時間になっている事を知らずに寝坊していた井上さんを叩き起こし、エクスアンプロバンスの外周道路からサンビクトワール山へ向かいました。この道は「セザンヌの道、Route de Cezanne」と呼ばれ、日曜日ともなれば、多くの人々が散歩やジョギングを楽しんでいます。真っ青な空のもと、赤茶けた大地の向こうに石灰質の白い岩肌を持つサンビクトワール山が迫っています。


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サンビクトワール山の麓で休憩。

車は、OPELのRVタイプの新車です。なかなかパワフルで良い車でした。


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サンビクトワール山の裾野に広がる、ぶどう畑に囲まれ、小さなワイナリーがありました。今日は、ここからスタートです。

人影の無いワイナリーを歩いていると、インターフォンのついた小さな建物がありました。美恵子さんがインターフォンで話し、建物の中に入りました。室内は白を基調にしたシンプルな作りで、小さなカウンターがあり、丸顔の若い女性が笑顔で迎えてくれます。白い壁に開けられた小さな窓からは、ぶどう畑の向こうにサンビクトワール山を望むことができ、まるで一枚の絵のようでした。


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「うわっ、美味しい!」
冷えた白ワインを口に含んだ美恵子さんが叫びました。
カウンターの中の若い女性は、順番にワインをグラスに注いでくれます。

「これも、美味しい!」
美恵子さんは、白、ロゼ、赤と全てのワインを順番に飲み干し、ご満悦です。

正しい試飲の仕方は、色と香りを楽しんだ後、ほんのひとくち含んで舌で転がし、残りはテーブルの上に置いてある容器に捨てるのですが、あまりの美味しさに全て、ごっくん、ごっくんと飲んでいます。6種類のワインを試し終わった時には、頬がほんのりと赤くなり、できあがってしまっていました。


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3.レストラン

マルセーユとコートダジュールを結ぶ高速道路A8に出て、東に向かいます。フランスの高速道路の最高法定速度は130km。市街地での交通マナーは決して良いとはいえないフランスですが、高速道路では意外と安全運転です。日本との最大の違いは、トラックのマナーが良いことでしょうか。100kmくらいのスピードで走行車線を整然と走っており、暴走トラックは皆無です。時々、BMWやベンツが200km超で走っているのはドイツ人かもしれません。

 
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コート・デ・プロバンスの中心地、レザルク・シュル・アルジャンに着いて、とあるワイナリーに入ろうとしたら、11:00-14:00のランチタイムは休憩時間でした。お腹も空いてきたので、ワイナリーのすぐ横にあるレストランに入りました。

左の写真はレストランの入り口。フランスの田舎には、このようにホテルと一緒になったレストランが村に1軒はあり、料理が美味しいのに驚きます。レストランの入り口には誇らしげに星があります。意外と期待できそうです。


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ひとり120フランのコース料理を頼みました。ワインは当然、コート・デ・プロバンスのロゼです。前菜は、美恵子さんはカルパッチョ、井上さんはムール貝、私は鮭を選びました。前菜と一緒に、ラディッシュや鰯を発酵させたものが出てきました。いずれも、ロゼと良く合い、美味しさに話もはずみます。


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メインディッシュに井上さんは、ウサギを選びました。淡泊な味といい、大きさといい、鶏肉のようですが、鶏特有のぶつぶつの皮が無いので、ウサギとわかります。私は牛肉を選びました。トリュフ味のソースが絶品で、日本ではなかなか食べられない味でした。

テーブルクロスやナプキンは、プロバンサールです。南フランスの灼熱の太陽で焼いた木綿の布ですが、日本でも一部の人に絶大な人気があるようです。


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サービスをしてくれたボーイさんが陽気で、わざわざ美恵子さんのために、ニセモノの料理を作ってきて驚かせてくれました。一緒に、写真を撮ろうとすると、ちゃっかり井上さんの横に座ってポーズをとりました。

南フランスもこんな田舎に来ると日本人が珍しいのか、周囲の人もこちらを見ていて、目が合うと笑いかけてくれます。


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4.コート・デ・プロバンス

プロバンスは、実はフランスでワインが最も古く作られた所です。なんでも2600年も前とのこと。今は、ボルドーやブルゴーニュが有名ですが、明るい気候に合ったプロバンスのロゼは定評があります。

レストランを出てワイナリーへ。セント・ローズラインというシャトーで、道路に面した広い駐車場を持ち、教会や宿泊施設のある大きなワイナリーでした。


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ワイナリーの入り口。


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早速、試飲を。

美恵子さんはレストランでもかなり飲んだ筈なのに、またまた、いいピッチです。


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ロゼから始めて、赤を飲み、今度は白を飲もうとすると、
「赤の次に白を飲むのは、良くない」
とたしなめられてしまいました。
関係ありません。我々はただ、飲みたいだけなのですから


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このワイナリーは家族連れのお客さんもいましたが、試飲しているのは、我々だけでした。


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レザルク・シュル・アルジャンには、コート・デ・プロバンスのワイン会館があります。ワイン情報がここで得られるというので訪れたのですが、残念ながら、日曜日はお休みでした。


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ワイン会館の裏には、綺麗な川が流れています。川のほとりには遊歩道や小さなハーブガーデンがありました。こんな所でのんびりとワインを味わうのは最高でしょう。


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ワイン会館付設のレストラン。コート・デ・プロバンスのロゼが揃っているそうです。やはり、日曜日でお休み。残念。


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5.カシス

ワイナリー巡りはそこで止め、一路、カシスを目指しました。マルセーユから東に30kmほどの所にある港町です。小さな湾に面する小さな港町ですが、プロバンス地方の人が最も好きな所のひとつです。一緒に働いているフランス人に「観光するにはどこがいいだろう」と聞くと、真っ先に「カシス」と答えます。

美恵子さんも、フランス人から「カシスへ行け。カシスを知らない者は何も知らないのと同じだ」と言われたそうで、是非行ってみたいという希望でした。

実は、私は何度かカシスを夏に訪れたことがあって、その混雑に閉口していたのですが、今の季節(3月末)なら、人も少ないだろうと思ったのが大間違い。すごい混雑で、車を駐車するスペースもありません。運良く、車の長さプラス50cmというスペースを見つけ、どうにか駐車しました。

町中のカフェは人であふれています。海岸は比較的空いていましたが、それでも、日光浴や釣りをしている人で一杯です。当然といえば当然ですが、海で泳いでいる人たちもいました。


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海岸沿いのカフェに座って、ひとやすみ。ここでは、ワインよりも、当然ビールです。


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マルセーユからカシスにかけて、カランクと呼ばれる入り江が連なっています。エメラルド・グリーンの海と切り立つ絶壁が特徴で、その美しさは海を見慣れた日本人でさえも感動します。

カシスの東側の丘へ伸びる道があります。車で、急な坂を上っていくと、頂上付近で大きく視界が広がりました。カシスの小さな港町が足下に見え、東に目を転ずると、ツーロンや遠くニースの方まで見えるようです。


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絶壁の上に出ました。高さは200m以上、あるでしょうか。美恵子さんが、絶壁の上から見下ろしています。


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私もオーバーハングした岩の上に立ちました。この上からジャンプすれば、そのまま海にダイブできそうです。

足下に見えるのが、カシスの港町です。


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海の色は深いエメラルド・グリーン。吸い込まれそうです。

日本だと、こんな危険な所には柵があるか、あるいは立ち入り禁止になっていることでしょう。自然に手を入れないで、そのまま残しているのは欧米流です。


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絶壁を走る道路にも殆どガードレールが無く、こんなので大丈夫かと思っていたら、さすがに、ありました。車が。絶壁の下です。

「どうやって、あそこまで行ったんだろう」
と話していたのですが、双眼鏡で見ると、車体とエンジン部分が別々になっていました。


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