特異点問題 知性とは何か

Singularity 2045 -What is the intelligence


人工知能(AI)の進歩は著しく、2029年にはコンピュータの知能が人間なみになり、2045年には全人類の知能の和を上回ると言われています。これを技術的特異点(シンギュラリティ)と呼び、その時に何が起こるかが問題となっています。

すでに、多くの分野でAIは人間を上回る能力を発揮しており、人間に代わってAIが働く、あるいはAIの指示のもとに人間が働く時代になっています。

例えば、
・タクシーの最適配置をビッグデータを使ってAIが予測し、それに従ってタクシーが動く結果、乗車率が大幅上昇した
・ローンの審査をクレジットカードの信用調査だけでなく、その人の全ての行動データを用いてAIが行うことによって審査の正確性が増した
・医療のX線CTやMRIのデータ解析は人間がやるよりも、膨大な医療データを持つAIに任せた方が正確で早い
・人間が多数の人を対象に画一的に行う教育よりも、AIがその人その人に合ったカリキュラムを作って行う教育の方が早くて効率的
・従来の膨大な判決データをもとに、裁判においてAIが事件の弁護を行う
・どういう目的で、どういう雰囲気のCMソングにするかということを入力すれば、AIがそれに合った曲を作曲する
などという時代になっています。

いずれ、人間にしかできないと思われていた知的活動や創造性が必要と考えられていた職業にまでAIが進出し、人間の職業を奪っていくでしょう。

しかし、問題の本質はそれではありません。英語の知能(Intelligence)という言葉は、実は二つの要素から成っていることに注意する必要があります。

日本語では明確に区別されていて、それは、知能と知性です。

  知能:答えのある問いに対して、早く正しい答えを見いだす能力
  知性:答えのない問いに対して、その問いを問い続ける能力

現在のスパコンは単に知能に優れているだけであって、それが如何に早く正確な答えを出そうが、極端にいえば『まあ便利』という程度のもの。人間の職業を奪っていくという側面があるとしても、道具として使いこなしていけるものだと思います。

知性となってはじめて、人間の脅威になると思うのです。

この知性をAIに与えようという研究も現在進んでいて、たとえば、人間の大脳の構造を再現する研究があります。実は大脳の構造自体はそれほど複雑なものではなくてある意味、単純なものです。それが再現できれば、人間と同様に答えのない問いを問い続けていく能力を持つAIが生まれるでしょう。

またこれまでのスパコンは、CPUのコアがあって、8コア、3GHzなどと、コアのマルチ化、高速化の方向に進んできていて、多数のコアをどう繋げるかというインターリンクの問題があった訳ですが、まず、リンクを作って、必要な所にコアを配置するという研究もあります。

いずれにしろ、一旦、知性をもったAIが生まれれば、AI自身が自らの開発を進めていった方が人間が開発を進めるよりも効率的でしょう。

そして、いずれIQが1000万とかいう知性が生まれるでしょう。その時、IQ1000万の知性からみれば、人間の知性なんて取るに足りません。IQ1000万の知性からみれば、IQが200のアインシュタインクラスの天才と、IQが50の人間の差なんて、無いも同然です。まるで人間がアリをみるように。

その知性が、人間に対してどういう態度をとるかというのが、技術的特異点(シンギュラリティ)問題の本質だと思います。


設問:

AIが知性をもった時、その知性は神を信じ、宗教にたよるのか?

この純粋知性が、自ら問いを深めていった時、神や宗教にいきつくかというと、私は否と思います。神や宗教で問いを完結してしまったら、それは知性の自殺と思うからです。