ドローン戦争

War by Drones (Self-moving machines)


核兵器よりも、生物兵器や化学兵器よりも恐ろしい技術が開発されています。

それは、ドローンで代表される、自立型移動体です。

ドローンは配達などの商業利用や農業への利用がもてはやされる一方で、落下などの危険防止のための規制が取り沙汰されていますが、軍事技術としての側面が抜け落ちています。

現代は、無人機による攻撃の時代。地球の裏側にいて、遠隔操作で無人機を操り、人間を攻撃することができます。

無人機による攻撃について、『攻撃スイッチを押すのはあくまで人間である』という原則は固く守られているようにみえます。この歯止めが無くなった時の危険性を認識しているからでしょう。

技術的には、自立型移動体の知能を高めて、人間識別能力や自己保存能力、目的を達するための判断能力を、人間並みかそれ以上にできるでしょう。また、自立型移動体に銃や爆弾、毒薬などの攻撃兵器を付加するのはとても容易なことです。

ドローンは飛翔体に限らず、潜水艦とか、艦艇、戦車などもあり得るでしょう。潜水艦は、いくら潜っていても無人ですから、人間の食料や精神状態を気にする必要がなく、人間以上の知能をもった自立型であれば、本国が攻撃を受けて反撃の連絡ができないような状態であっても、自分で考えて状況を判断し報復しますから、抑止力として極めて有力です。

しかし、艦艇や戦車などの海上や地上戦力としては、ドローンよりも人間が操作する形が残り、ドローンとしては、小型化に向かう方向と思います。海上では、イルカや魚の形をした自立型ドローン。地上では、身を隠し、どこにでも潜り込める蛇型ドローンなどが考えられます。

飛翔体ドローンもますます小型化し、それに人間識別能力や自己保存能力、目的を達するための判断能力を与えることが可能となるでしょう。

つまり、例えば、ビン・ラディンという人物を認識するためのデータをインプットした超小型の自立型移動体を大量に作って、その移動体にその人物を自動攻撃させることは容易ということです。これは、現在の無人機による攻撃などと比べて、はるかに強力でしょう。

ハチを模した自立型移動体が、ある人物を攻撃するようにプログラムされ、大量にばらまかれたら、その毒針から逃れることは不可能でしょう。

そういう技術は近い将来十分に可能で、可能だということは、いかに歯止めを作ったとしても、いつか実現してしまうということだと思います。

グローバルなネットワーク網を通じて、それらの自立型移動体と全人類の知性に匹敵するAIとが組み合わされた時、映画『ターミネータ』の世界が現実になります。

これを防ぐために、どこでどう歯止めをかけるかは、全世界的に議論されるべき課題でしょう。


全世界的に議論されるべき歯止めといえば、サイバーアタックと、人工衛星攻撃があります。前述のドローンも自己の位置測定をGPS衛星に頼り、指示はネットワーク経由で受けます。

もし、サイバーアタックにより通信網が破壊されたり、ハッキングされてプログラムが書き換えられるような事があれば、上記のドローンたちは全く無力になります。相手の軍事力を破壊するようなサイバーアタックは、ネット空間とはいえ、現実の物理的な攻撃に勝る効果を持っていますから、相手としては実際の軍事行動と捉えるでしょう。

また、人工衛星への攻撃も歯止めが必要です。宇宙では、これまでは米国が圧倒的な力を持っていましたから、米国のGPS衛星をはじめ、偵察衛星、軍事衛星などは防御能力をもっていませんでした。もし攻撃能力をもつ人工衛星を打ち上げれば、米国の人工衛星はすべて格好の標的であり、ハイテク化した米国の軍事能力に破壊的な効果を持つでしょう。宇宙での人工衛星攻撃も、地上での物理的な攻撃に勝る効果を持っていますから、相手としては実際の軍事行動と捉えるでしょう。

地上での物理的な攻撃が無いのに、サイバー空間や宇宙空間での攻撃をきっかけとして、全面戦争に突入するケースが有り得るというのは恐ろしいことです。ドローンによる無人攻撃、サイバーアタック、人工衛星攻撃については、世界的な議論を行い、歯止めをかける必要があるでしょう。


さて、これらの脅威に対して、日本はどう対策すべきでしょうか?

基本的には、現在の民生技術を更に発展させ、技術を磨き続けることで良いと思います。ドローン、ロボット、大容量電池、小型高性能のセンサー、振動や騒音の少ないモーター、ロケット、軽量小型ジェット、スパコンなど、日本の民生技術は軍事技術に匹敵し、勝ります。

すぐに軍事技術に転用できる技術を多く持つことは、戦争防止の抑止力として有効でしょう。また、技術により大切な兵士の命を守ることもできるでしょう。

例えば、介護ロボットの技術は兵士のパワードスーツに応用できます。高度のセンサーにより敵の様子をいち早く正確に知ることもできます。ドローンによる無人戦争が禁止された時、戦場に出るのはこれまで通り兵士ですが、日本のように兵士の命を大切に考える国は、ハイテク技術により、兵士を守り、助ける技術が大切になってくると思うのです。

また、サイバー戦で負けないことが重要です。これは専守防衛の日本にとっては極めて大切で、サイバーアタックを実際の物理的な軍事攻撃と同様に見なし、相手の国を物理的に攻撃したり、サイバーアタックを仕返すことは、専守防衛の日本にとっては不可能です。つまり、サイバー空間では日本は攻撃しても反撃されない、抑止力を持たない国と見なされる訳ですから、普通の国以上に守りを固めるべきでしょう。