骨髄移植治療中の食品制限について

Food during the treatments for bone marrow transplantation


抗がん剤治療中の骨髄抑制(白血球がなくて体の抵抗力なし)の状態)や、骨髄移植の治療中・治療後のケアの状態での食事制限は、日本造血細胞移植学会が纏めたガイドライン第2版

造血細胞移植ガイドライン 移植後早期の感染管理第2版 2012年改訂
(2014版の造血細胞移植学会ガイドラインが書籍としてあるのですが、こちらは有料です)

に基づいて各病院にて基準が決められているようです。


ガイドラインより

7.3. 食品の選択
7.3.1. 賞味期限・消費期限の切れた食品は食べない。
7.3.2. 賞味期限・消費期限内の物でも冷凍・冷蔵等表示された適正な保管方法のものを選択する。
7.3.3. 外食の際や調理済み食品を選択する際は、調理製造過程と保管状態の安全性が確認できる物を選択する。
7.3.4. 食肉類・魚介類・卵の生食は禁止する。サルモネラ・カンピロバクター・病原性大腸菌・腸炎ビブリオ・ノロウイルス等に食品汚染の可能性がある。
7.3.5. 生野菜は、生産・収穫・搬送・保管・調理等の途上で動物の糞尿による汚染・土壌中の真菌付着・腸管出血性大腸菌等で汚染された水・ノロウイルス・サルモネラ等による食品汚染の可能性あるため、次亜塩素酸ナトリウム(100ppm)に10分浸漬後飲料に適した水での流水洗浄後皮をむくか加熱調理を行う。
7.3.6. 乳製品は殺菌表示のあるものを選択する。殺菌されていない物は、サルモネラ・カンピロバクター・リステリア等による食品汚染の可能性がある。
7.3.7. カマンベールやブルーチーズ等かびの生えているチーズは、免疫力の状態によっては 真菌の摂取や吸入による感染も危惧されるため避ける。
7.3.8. 味噌は、自家製味噌等の容器に付着した他の真菌の摂取や吸入等による感染が免疫力 の状態によっては危惧される。加熱調理後摂取する。
7.3.9. 納豆は、芽胞を形成し100℃以上の熱にも耐える。納豆を加熱しても菌は死滅しない。病原性は低いといわれているが、十分に検討されていないため摂取にあたっては免疫状況等慎重に対応する。
7.3.10. 豆腐は、殺菌表示のある豆腐または充填製法の豆腐を選択する。調理途上の大腸菌やノロウイルス等による食品汚染の可能性あり慎重に調理する。
7.3.11. 生の木の実・ドライフルーツは、水分を含有していることより真菌の発生や収穫・製造・搬送等の途上に土壌や動物の糞便等による食品汚染の可能性があるため避ける。
7.3.12. 漬物・梅干は、調理工程の衛生管理が確認できない場合は避ける。
7.3.13. 缶・ペットボトル・ブリックパック等に入った清涼飲料は、包装に破損のない賞味期限内の物を選択する。開封後は冷蔵保存し24時間過ぎたら破棄する。
7.3.14. 水は賞味期限表示のある物を選択し、開封後はコップ等にうつして飲み、容器に直接口をつけない。開封後は冷蔵保存し24時間過ぎたら破棄する。
7.3.15. 水道水は、1分以上沸騰後飲用とする。水道水は塩素が含まれており大腸菌などの一般 細菌は安全なレベルまでコントロールされているが、全ての微生物が完全に除去されていない。特に、クリプトスポリジウムは塩素に耐性を持っているため、まれに水道水の汚染報告がある。
7.3.16. 氷は、上記飲用可能な水を使用し、他の食品が付着しないように製氷したものを摂取する。製氷工程の衛生管理が確認できない場合は避ける。
7.3.17. 缶詰・レトルト食品は、容器の破損・変形・膨張していない製品を選択する。
7.3.18. アイスクリーム・シャーベット・ゼリー・プリンは、個別密封されている製品を選択する。一度溶解した物は避ける。
7.3.19. 蜂蜜は、殺菌表示のある製品を選択する。
7.3.20. 焼菓子、チョコレート、ガム等市販菓子類は、少量個別包装を選択する。「するめ」によるサルモネラ食中毒例があるため魚介類を材料とする製品の安全性は十分に検討されていないため慎重に選択する。


最初に入院した北の国の大学病院では、2012年版でなく古いガイドラインの基準で運営されていて、入室管理なども無駄に厳しく、食事も煮野菜のみ、生野菜なし、他にも制限が多くて辛い思いをしました。

ところが、次に入院した国立がん研究センターは、日本のガン研究の中核病院ですから、2012年版よりも更に新しい基準で運営されているようで、無菌病室(クリーンルーム)での食事についてで書いたように、無菌病室で骨髄抑制の状態でも、毎日のように生野菜が出てくるし、皮つきのリンゴとか、納豆も頻繁に出てきました。

そして、骨髄移植のために転院した今の病院では、抗がん剤治療の病棟では生野菜OKですが、移植病棟では全て煮野菜です。また、移植病棟の個室に軟禁状態の時には売店の食品も医師の許可が必要でした。

当然ながら、患者の病状によって、食べられる食品と避けるべき食品があるべきで、その意味では骨髄移植という最強の治療をしている場合に最も厳しい制限がかかるのは仕方ないと思います。

ただ、骨髄移植後に白血球が増え、普通の人と同じレベルになった場合に、ガイドラインをどの程度緩めるかという点については明確でないようで、看護婦さんや医師、栄養士によっても言うことが違います。例えば、栄養士などから厳しい教育を受けた妻は、『キーウイは皮に雑菌がついているからダメ、イチゴも皮付きの果物でないからダメ』と何も食べさせてくれませんでした。

そこでいろいろ調べてみました。その結果、最も参考になるのは、

がんナビのホームページ
免疫力が低下した時の食事管理基準

でした。ここでは、免疫力の状態で患者を、<赤>、<黄>、<青>、<白>の4つに分類して。患者の分類は、好中球数や治療内容から、医師が決めることになっています。


因みに私の現在の分類は、"青"ですね。

微妙なのが納豆。移植学会のガイドラインでも微妙な表現で、『病原性は低いといわれているが、十分に検討されていないため摂取にあたっては免疫状況等慎重に対応する』となっています。

一方で、国立がん研究センターでは、白血球がゼロの状態でも、納豆パックが良くついてきました。無菌病室(クリーンルーム)での食事についての摂取不可食品の表では、"発酵食品(藁の中に入っている納豆、生味噌類)"という項目があります。

恐らく、藁の中に入っているような納豆はダメだが、きちんとした工場で作られている納豆パックについては問題なし、というのが国立がん研究センターの最新の基準なのでしょう。がんセンターとして、納豆パックの仕入れ先の工場をチェックしているのかもしれません。

納豆は体にいい食品ですから、是非、食べたいものです。