俯瞰すると見えてくるもの


帰依する人々 ー食品中の放射能について−の中で、フレキシブルに物事を見ることの大切さ、そして先入観なしで物事を素直に見れば、『見たくないものでも見えてくる』という事を書きました。

ここでは、同様に、世界の政治体制について考えてみます。

現在の世界を俯瞰すれば、グローバル化によりどの国においても中間層が激減し、社会の不満が蓄積しているという状況が分かります。そして、民主主義国家の『民意の暴走』が始まっています。また世界の紛争は、冷戦時代の西側・東側のスキームではなく、各民族・各宗派が自らの国を作り、孤立主義を強めて、その境界を巡る争いの形になっています。

イギリスは、国民投票の結果、欧州を離れることになりました。
イタリアでは、野党に扇動されて国の重要政策が否決されました。
欧州では各国で排他的/孤立的な右派が台頭してきています。
韓国の政治混乱も社会の2極化に対する不満、若者を中心とする未来への不安がその根幹にあるのでしょう。
そして、米国では、マスコミに代表されるリベラル勢力が後退し、乱暴なトランプ政権を生んでいます。
その中で日本は安倍政権のもとで安定しているといえますが、社会の2極化と若者の貧困化が進んでいます。

一方、民主独裁、あるいは一党独裁国家をみると、
ロシアはプーチン大統領のもと、ソ連邦崩壊後も一定の国力を保っています。
中国は一党支配で、いずれ民主主義蜂起が起こって崩壊と言われつつ、世界第二の経済力を誇り、米国をも凌ぐ政治力をつけようとしています。
フィリピンのドゥテルテ大統領は超法規的殺人などの問題を指摘されつつも、犯罪を減少させ、圧倒的な支持率を誇っています。
リビアのカダフェ政権、イラクのフセイン政権も、無くなってはじめて、必要な政権であって非常に上手く国を治めていた事が分かりました。

シンガポールは、実質一党独裁で、リー・クアンユー首相のもと、水すらも無いシンガポールを世界経済のハブに押し上げ、一人当たりGDPは、日本を上回るまでになっています。 民主主義国家の『民意の暴走』はその国の持てるリソースの分散を招き、効率的な国の運営を困難にしています。日本においても、例えば福島におけるマスコミの無責任な扇動と当時の政権による過剰な規制はいまだに日本再生の足かせになっています。 一方、優れたリーダーに率いられた独裁政権は効率的なリソース運営が出来る。完全な言論の自由はないけど、社会に害をなす無責任な報道もない。若い世代にとって『自由だけど貧しい』生活か、『自由は制限されるが豊かな』生活かという選択の時代といえます。


歴史を俯瞰すれば、民族単位の国ができてその中で資本主義と民主主義が発達したのは、18世紀のフランス革命以降の僅か300年足らずの僅かな期間です。世界初のギリシャの都市国家の民主主義はすぐに滅びました。世界は、ある民族が打ち立てた王朝のもとで、支配者と被支配者にわかれて、いろいろな民族や宗教の人々が暮らすのが当たり前の時代が長く続いたのです。

内と外を分ける国単位の民主主義は、外から搾取する植民地主義を生み、そして国同士が総力を挙げて戦う20世紀の『戦争の世紀』に繋がっていきます。

戦争という観点からは、民主主義は極めて危険な政治体制といえます。ヒットラーを生んだのは、当時、もっとも民主的な憲法といわれたワイマール憲法を持つドイツでした。敵を作り、社会の不満をそれに向けるように煽られた大衆は、容易に戦争に走ってしまうという歴史的事実があります。

民主主義の限界にも書きましたが、政治の大きな役割は、この『民意の暴走』から共同体を守ることです。責任ある政治家は、安易に大衆に阿ることなく、未来を冷徹に見通し、必要なら『多数が反対しても、やらなければならない事』をやるべきです。いずれ歴史がその名誉を守ってくれるでしょう。

健全な民主主義のためには、メディアによる正確で客観的な情報が不可欠ですが、残念ながら日本の『戦後リベラル』の牙城となった大手マスコミは、自分たちのイデオロギーのために真実を曲げ、表面的で感情的な報道に終始しています。少しイタい大人たちが多い団塊の世代が引退する頃には、これらの大手マスコミも消えていくことでしょう。


トランプ大統領の"アメリカファースト"は、グローバル化する世界に対する『国単位の民主主義』の最後の抵抗といえます。アメリカの内と外とを区別し、内に最大の利益をもたらそうというものです。

しかし、自動車産業の工場のいくつかはアメリカに戻ってきても、今後の産業革命を担う情報産業は既にグローバル化しています。

東芝の従業員は19万人ということですが、米国における情報産業の従業員数は以下の通りです。既存の世界企業と比べて遥かに少ない人数です。

アマゾン 11.7万人
マイクロソフト 10万人
アップル 8万人
グーグル 5万人
フェイスブック 1万人
ツイッター 0.36万人

例えば、アップルは米国での雇用は頭脳に相当する人のみで、雇用の多くは中国などの現地生産で、その数は何十万人に及ぶでしょう。そして税金は、アイスランドなどの法人税の安い処に籍を置くことにより、アメリカ本国には殆ど入っていません。

いずれ、好むと好まざるに係わらず、世界はさらにグローバル化し、従来の民族主義、孤立主義、そして民主主義を越えた新しい時代に入っていくことでしょう。

グローバル化した世界では、日本の片田舎であっても、世界に通用する何かがあれば世界企業になり得ます。全く新しい発想に基づくビジネスモデル、そこでしか作れない本当に良い物は、容易に国境を越えて世界に販路を広げるでしょう。

北方領土の帰属権をうやむやにしたまま、というか、新しい日露共同統治制度のもとで、共同開発を行い、世界のレジャーランド、資源ランドにするというのもいいアイディアです。小さな島を返してもらって大衆の領土欲を満足させるという時代ではないのです。