小池百合子氏にみるポピュリズム その2


小池知事誕生の際に、小池百合子氏にみるポピュリズムの中で、注目を浴び、スタンドプレーで喝采を浴びることを無上の喜びとする本能を持つ、ジャーナリスト・ニュースキャスターは政治家には向かないと書きました。

また、小池百合子氏が作った豊洲問題の中で、豊洲のどこか危険なのか、築地と比べてどちらが危険なのか、と問いました。

懸念した通り、鳴り物入りで始めたオリンピック会場問題、豊洲問題、いずれも”落とし処”を一切考えていなかった事が明らかになり、何の解決にもなっていません。

そして、豊洲問題の関係者の処分とか、石原元知事の責任を問う、などの極めて危険な兆候や発言があることを懸念するものです。

なお、豊洲の地下水について、以前の8回の測定では環境基準ギリギリだったのに、今回の測定では環境基準の79倍という値が出てきたことは少し驚きましたが、それにしても、その地下水を豊洲市場で飲んだり、食品洗浄に使用する訳ではありません。各建屋は、盛り土(浸透して危険)でなく、コンクリートで蓋をしていて、地下水はそのまま排水するだけです。そもそも飲み水でないのに環境基準と比較するのがおかしいのであって、排水基準であれば、必要なら希釈すればいいだけです。


改めて、小池知事について2つの大きな問題を挙げておきたいと思います。

1.大組織の長たる資質がない

リーダーの格付けについて、中国の故事/格言にあったと思うのですが、探しきれませんでした。(もし、ご存じでしたら教えてください)

愚かで統率力の無いリーダーは論外ですが、『優れて統率力があり先頭に立って問題を解決していくリーダー』が最良のリーダーかというと、そうでは無いという格言です。

最良のリーダーは『何もしなくても、組織・集団が纏まり、ある目的に向かって組織・集団の力が結束される』というもの。これは集団が大きくなればなるほど大切な要件になります。東京都のような大組織では、リーダーひとりが優れていても個人の力は限られています。多くの優れた人のやる気を出して初めて組織は成功するのです。

それは、そのリーダーの哲学であり、人を見る目であり、先見性であり、カリスマ性などに起因するものでしょう。

ところが、小池知事は、自らの政治的利益のために、これまで豊洲市場で頑張ってきた現場のエンジニア、技術者、責任者に罪を着せ断罪しました。石原元知事についても、危険な築地市場をどうにかしようという動機で開始し、実際に築地よりも安全な豊洲市場が完成しているのです。

オリンピック会場、費用問題にしても、これまでの関係者の努力を、自らの政治ショーのためにぶち壊そうとしました。実際に成果が出ればまだしも、混乱を招いているだけです。(それにしても、森元首相は現役の時はそうでもなかったのですが、今はいい味出してますね。現役の時に輝いていたが変なおっさんになってしまった小泉元首相とは大違い)

現場で頑張っている、優れた多くの人達のやる気を失わせた、これだけでリーダー失格です。

2.民衆の支持を武器に、敵を作り、それを破るという手法は極めて危険

もっと危険なのは、それらの人の断罪を、マスコミを味方につけ民衆の支持のもとに行っていることです。確かに、現在の都議会には、利権や権力闘争など、いろいろな問題があるでしょう。都の全ての決断がどのようになされたかを全て公開し、クリーンな政治を目指すというのは賛成です。小池氏は誤解しているようですが、マスコミの前で、パーフォーマンスをすることがクリーンな政治ではないのです。

大手マスコミは、小池氏の敵をあげつらい、政治闘争を煽り、『小池さんに期待します!!』などという街の声(主に主婦)を流しています。視聴率が取れるからでしょう。しかし、その状況は、『いつか来た道』に繋がる極めて危険な道です。


(2017年2月21日追記)

今週号(2017年2月23日号)の週刊新潮と週刊文春に、小池知事と石原元知事のバトル関係の記事が載っていました。

週刊新潮は石原元知事にインタビューし、『小池知事は安全と安心をはき違えっている、リーダーにとって必要な発想力がない、職員のやる気を失わせている、総理の器ではない』などの言質を引き出していて、普通に考えればそうだようなあと同感しました。

一方、週刊文春は、石原都知事時代にいかに贅沢な出張をしたり、高級レストランを使ったかなどを羅列しています。不倫騒動の報道以来、週刊文春は変な方向に行っているようで、コンプライアンスが日本を萎縮させるに書いたような世の中の『空気』を作り出す元凶となっていて少し失望しています。

政治家にとって、大切なのは、実績です。移ろいやすい民意、熱しやすい世論から距離を置き、冷徹な目をもって過去と未来を洞察し、政策を決定するのが政治家です。細かな事に惑わされない、胆力の座った人をリーダーにしないといけないのです。

その点、石原都政の実績は、破綻寸前だった財政を好転させたほか、排ガス規制を行い、羽田空港の国際化など見るべきものがあります。後を引き取った知事や小池知事が安穏に財政のバラ巻きができるのも、石原都政のもとで東京が発展したからです。いずれ、歴代の都知事に対する歴史の審判が下るでしょうが、石原都政の実績は飛び抜けているのではないでしょうか。

石原元知事への損害賠償請求が出ていますが、さすがにこれは無理筋でしょう。収賄などの容疑があればともかく、その時点の判断として、危険な築地市場を最新設備の豊洲市場に移すというのは政治判断のひとつです。技術的にも、地下水を使う予定はなく、地下水をコンクリートによって遮断できるという判断(これはいまでも正しいと思います)は間違っていないと思います。

むしろ、安全と安心をはき違え、自身の劇場パーフォーマンスのために豊洲問題を作った小池知事にこそ、損害買収請求を行うべきと思うのです。