退院したら行きたいレストラン


骨髄移植後、1〜2年は食事にいろいろな制限があります。新しい造血幹細胞で作られた白血球は学習が十分でないので、いろいろな細菌やウィールスを認識できません。また、免疫抑制剤の働きのため、免疫機能全体が落ちているので、刺身や寿司などの生もの、味噌、チーズなどの発酵食品は控えるよう指導されているのです。

味覚障害は8割方、治っている状況で、魚の味の区別や、かつおだし、昆布だしの微妙な味も分かるようになりました。ただ、気になるのは、味の趣向が少し変わったのではないかと思うところ。

たとえば、移植以前は生のトマトは大好きでしたが、トマト加工製品やトマト料理は好きではありませんでした。オムレツの上のケチャップはとり除くし、スパゲッティも、ナポリタンとクリームがあれば、間違いなくクリーム系を選んでいました。

ところが、いま、もしイタリアンレストランに行くと、クリーム系は重いのでナポリタンを選んでしまう気がします。

鶏肉もそうです。移植前は一切、鶏肉は食べませんでした。ところが、いま、病院内のコンビニのレジの横にある鶏の唐揚げが、とても美味しそうに見えて、1個だけ買ってみようかなと思うのです。

逆に、このところ食べ続けている茹で卵に飽きてきたのです。卵に飽きるなんてことは、これまでの人生で有り得なかったのに。

考えてみると、トマト系パスタとか、鶏肉とか、実に私の息子や妻が好む食品です。ひょっとすると、血液型がO型から息子や妻と同じA型に変わって、体質や好みが変わりつつあるのかも知れません。



退院が見えたいま、外に出て食べたいものがたくさんあります。血糖値管理のために粗食に耐え、間食をしないで、お腹を空かした状態のもと、夢見るように綴った『退院したら行きたいレストランリスト』ということで・・・。

1.宇奈とと

サラリーマンの味方、ワンコイン(500円)で鰻丼を食べることができるチェーン店です。今でも、鰻重800円、うな重上1300円(私はこれ!)、鰻重特上1500円で食べることができます。安いけれども、肉厚の備長炭で荒っぽく焼いた鰻は、焦げ目とかがあって美味しいのです。

ある時期、とてもグルメな同僚がいて、彼に連れられて東京の鰻屋を回ったことがありました。銀座竹葉亭、築地宮川本店、明神下神田川本店、神楽坂石ばし、南千住尾花、東麻布野田岩、池袋かぶとなどなど。その中でも気に入っているのは、神田川本店。歴史を感じさせる建物や床の間付きの広い個室、そこからの庭園が立派で、鰻以上に雰囲気を愉しむことができますが、これらの名店と言われる店の鰻は柔らかすぎて、私には上品すぎるのです。

蒸してから焼くという関東風が合わないのかと思って、銀座一丁目にあるひょうたん屋という関西風の鰻店にも行ってみました。人気のある店ですが、直接焼いた鰻は、私には固すぎて好きになれませんでした。

ということで、私は宇奈ととの鰻で十分。退院したら真っ先に行きたいと思っています。

2.中華『幹樹(もとき)』

池袋駅から遠く、タクシーを使う必要がありますが、その分、空いていて値段もリーズナブルです。ひとことで言うと、とても上品な味の中華です。店の方の雰囲気も良く、何を食べても美味しいと納得します。特に、土鍋麻婆豆腐は絶品で訪れると必ず頼んでいました。辛みの中に優しさと上品さがある麻婆豆腐なのです。元気な時には、中華鍋から火があがるレバニラ炒めなどが食べたいのですが、いまの病み上がりには、幹樹あたりが、ちょうどいい中華と思います。

3.薬膳料理『味芳斉』

幹樹と対極にある麻婆豆腐が、大門にある味芳斉本店。ここの麻婆豆腐は凄いです。やはり、上記のグルメな同僚に連れて行ってもらった店ですが、一度食べ始めたら、食べ続けないといけないくらいの辛さ。途中で水を飲んだり、一休みすると、汗が出てきてそれ以上食べられないのです。

しかし、不思議と癖になる魅力的な味で、同僚は、月に一度は食べないと禁断症状になると言っていました。私も時々、食べたくなります。

以前に中国は四川料理の本場、成都にある麻婆豆腐発祥の店で食べた事がありました。麻婆豆腐専門店でしたが、メニューはいろいろあって、標準的な山椒の効いた挽肉の麻婆豆腐の他、カニ麻婆や、海老麻婆はむしろ甘め。最も辛いのは川魚の麻婆豆腐で、これは怖い物見たさに頼んだものの、一切、食べることができないくらい辛いものでした。その本場の味に通じるものがあります。

4.神楽坂フレンチ

娘と二人で、神楽坂のワインレストランで食事をしたことがあります。当時の娘は私以上の酒豪で、ワインエキスパートとか利き酒師の資格を持ち、それを職業にしていたこともあって、特にフランスワインには詳しかったのです。

二人だけだから、まずは白のボトルをとって、赤はグラスワインでいいかなと思っていたら、あっという間に白のボトルが空になって、娘は赤のボルドーを物色していました。『普通、市価の3倍なんて値付けするとこあるけど、ここは良心的。2倍くらいだ』などと言いながら、顔色を変えることなく飲み干していました。

上述のグルメの同僚のマンションが神楽坂にあって、彼の案内でもイタリアンやフレンチに行きました。神楽坂って雰囲気もいいし、味もいいし、値段もリーズナブルですね。

そして最近、妻が友人達と一緒に神楽坂のフレンチを愉しんでいるようです。私の病院に見舞いにくるのも、フレンチのついでに来ているのではないかと勘ぐっているところ。病院に来て、今日のレストランは安くて美味しかったと報告があります。

退院したら、神楽坂のフレンチにも行きたいものです。

5.一風堂・天下一品ラーメン

入院中、熱があったり、胃腸の調子が悪い時には、京風うどんのカップ麺は食べることができましたが、『緑のたぬき』あたりになると、ハーフサイズで十分でした。一風堂や天下一品のラーメンなど一切食べたいと思いませんでした。しかし、今、天下一品のあのこってりしたラーメンが無性に食べたいのです。身体って正直ですね。

まだまだ、続くぞ・・・