採血 その2


とうとう、これまでで一番、採血の難しい患者と呼ばれるようになりました。

移植病棟は採血の機会が格段に多くて、看護師さんたちは病院で最も採血が上手い、と聞いて密かに期待していました。ところが、それに増して私の血管の難易度が上がり、上手いといわれる看護師さんたちでも、殆ど採血不能になったのです。

もともとは、左腕の正中(肘の内側の真ん中)が私の唯一の"得意箇所"で、健康診断や献血の際はそこを使っていました。そして、最初のPICC(周辺挿入中心静脈カテーテル)は、その正中に入れることができました。

ところが、一度、PICCを入れた血管は内部に盛り上がりとか傷がついて2回目以降は使うのが難しくなります。そこで、新しい血管を探すのですが、私の場合、それ以外の血管は奥にあったり、人と違う分岐をしているようで、何度も失敗しました。

7回目の抗がん剤治療の時のPICC挿入は、若手医師がやることになり、『大丈夫かいな』と思っていたら案の定、3回失敗しました。『手を変えましょう』と言い放った若手医師は私の担当医師を呼んできました。8回目の抗がん剤治療の時のPICC挿入も、やはりその若手医師がやることになりました。今度は、2回失敗したところで、『すみません。こんな事はないのですが・・』といいつつ、担当医師を呼んできました。すっかり自信を無くしたようでした。

この時は、ベテランの担当医師も2回失敗したあげく、血だらけになってPICCを挿入しました。(右写真)。


今の病院に移って、腕からのPICCではなく、首筋から中心静脈カテーテル(CV)を入れる際も、現在の担当医師が失敗しました。

首筋の血管が深い所に位置する上に、血管の枝分かれが人と違っていて、途中でCVが入らなくなるのだそうです。

左側の首筋でなく、右側の首筋から入れ直して、治療を始めることができました。

現在の担当医師は、私の採血の難易度を認識していて、私に限っては『全ての採血をカテーテルから行って良い』との通達が出されています。

ただ、血液中の薬剤の濃度、特に免疫抑制剤の濃度を正確に測りたいというケースがあり、その際に薬剤を投与しているカテーテルから採ると、どうしてもチューブの壁に付着した薬剤のために、濃度が高めに出る傾向があります。

その際には、10本の採血のうち、1本だけでも腕から取れという事になり、看護師さんたちの挑戦が始まります。

若い看護師さんたちは、『一度だけ試してみていいですか?ダメなら、他の人を呼びますから』と聞いてくるので、『3回まではトライしていい』と伝えています。

血管の膨らみと誤解する箇所がいくつかあって、若い看護師さんたちはまず、そこを刺すのです。『それはフェイクなんです』と説明するのが2回。そこで3回目を吟味して成功してもらうのが目的です。

右写真は、左腕の結果のまとめ。

手の甲の青アザは、若手に頼まれたベテラン看護師が、私がやらねばと、針を入れてから血管を探しまくった時にできたものです。大分、薄くなりましたが、1週間たっても痕跡が残っています。


ああ、血管が綺麗に見える人が羨ましい・・・・